NISAの税金はどうなる?配当を非課税にする受け取り方と「損益通算できない」落とし穴を税理士が解説【2026年版】

「NISAは利益が非課税」とよく言われますが、やり方を間違えると配当に約20%の税金がかかってしまうことをご存じでしょうか。NISA口座で株式を買っても、配当金の受け取り方の設定がずれているだけで、本来非課税のはずの配当がしっかり課税されてしまう——これは個人投資を始めた方からも、資産運用を考える経営者・役員の方からも、税理士法人 小山・ミカタパートナーズに実際によく寄せられるご相談です。 本記事では、新しいNISA(2024年スタート)の枠組みから、配当を確実に非課税で受け取るための設定、よく見落とされる「損益通算できない」というデメリット、出口(売却)の考え方まで、2026年(令和8年)時点の最新の取扱いで網羅的に解説します。NISAが非課税である根拠は、租税特別措置法および国税庁タックスアンサー No.1535「NISA制度」に明示されています。
📋 この記事の目次
  1. 1. NISAとは何か(3行サマリー)
  2. 2. 新しいNISA(2024年〜)の全体像
  3. 3. 何が非課税になるのか(配当・分配金・売却益)
  4. 4. ★最重要:配当を非課税にするには「株式数比例配分方式」
  5. 5. ★見落とされるデメリット:損失は「損益通算」できない
  6. 6. 旧NISA(2023年まで)はどうなるのか
  7. 7. 2026年以降のNISA改正の動き
  8. 9. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)

1. NISAとは何か(3行サマリー)

  • NISA(少額投資非課税制度)は、専用の口座(NISA口座)の中で得た配当・分配金・売却益にかかる税金がゼロになる制度です。
  • 通常、株式や投資信託の利益には所得税・住民税あわせて20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)がかかりますが、NISA口座ではこれがかかりません。
  • 2024年1月から制度が大きく変わり(新しいNISA)、非課税で持ち続けられる期間が無期限になりました。

通常の課税口座(特定口座・一般口座)で100万円の利益が出れば約20万円が税金で引かれますが、NISA口座なら100万円がまるごと手元に残ります。この「税金がかからない」という一点が、NISA最大の価値です。

2. 新しいNISA(2024年〜)の全体像

2024年1月にNISAは抜本的に拡充されました。現在の制度(新NISA)の骨格は次のとおりです。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間の投資枠120万円240万円
併用したときの年間上限合計360万円(両方使える)合計360万円(両方使える)
生涯の非課税保有限度額(簿価ベース)合計1,800万円合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
非課税で保有できる期間無期限無期限
対象商品国が定めた基準を満たす長期・積立向けの投資信託等上場株式・投資信託・ETF・REITなど(一部除外あり)
口座開設できる年齢18歳以上(その年1月1日時点)18歳以上(その年1月1日時点)

ポイントは4つです。

  1. つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、年間で最大360万円まで投資できます。
  2. 生涯の非課税保有限度額は1,800万円(買ったときの値段=簿価で計算)。このうち成長投資枠だけで使えるのは1,200万円までです。
  3. 非課税期間は無期限。旧制度(2023年まで)のように「5年で終了」という期限がありません。
  4. NISA口座は1人1口座のみ。複数の金融機関で同時に持つことはできません(年単位で金融機関の変更は可能)。
💡 売った分の枠は翌年に復活します。たとえば簿価100万円分を売却すると、その100万円分の非課税枠が翌年以降に「復活」し、再び使えます(生涯1,800万円の枠を、簿価ベースで出し入れできるイメージ)。ただし年間投資枠(つみたて120万・成長240万)の上限は別途かかります。

3. 何が非課税になるのか(配当・分配金・売却益)

NISA口座の中で得られる利益は、大きく分けて次の3つで、いずれも非課税です。

利益の種類内容通常の課税口座ならNISA口座なら
売却益(譲渡益)値上がりした株式・投資信託を売って得た利益20.315%課税非課税
配当金株式を保有して受け取る配当20.315%課税非課税(※受け取り方に条件あり・第4章)
分配金投資信託・ETFから受け取る普通分配金20.315%課税非課税

ここで最大の落とし穴が、配当金です。投資信託の分配金は自動的に非課税になりますが、国内上場株式の配当金は「受け取り方の設定」を間違えると非課税になりません。次章で詳しく解説します。

4. ★最重要:配当を非課税にするには「株式数比例配分方式」

NISA口座で国内上場株式の配当金を非課税で受け取るには、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定しておく必要があります。これは証券会社の口座で選ぶ受け取り方法の一つで、配当金を証券口座で受け取る方式です。

この設定をしていないと、せっかくNISA口座で買った株でも、配当金には通常どおり20.315%が課税されてしまいます。「NISAなら全部非課税」と思い込んで設定を見落とすと、毎年の配当が課税され続けることになります。

❌ やりがちな失敗
  • 配当金を銀行口座で受け取る設定(登録配当金受領口座方式)のままで、NISA株の配当に20.315%課税されていた
  • ゆうちょ等で配当金領収証を受け取る方式(配当金領収証方式)にしていて課税されていた
  • 受取方法の設定を確認せず、「NISAだから非課税のはず」と思い込んでいた
⭕ 王道の対応
  • 証券会社で配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する(これでNISA株の配当が非課税に)
  • NISAで高配当株・配当目的の運用をするなら、買う前に受取方法の設定をまず確認する
  • 設定変更には数日かかる場合があるため、配当の権利確定日より前に余裕をもって手続きする
💡 「株式数比例配分方式」は、NISA口座だけでなく同じ証券会社の特定口座・一般口座も含めたすべての口座に適用されます。NISA口座だけこの方式にする、という選び方はできません(日本証券業協会の取扱い)。複数の証券会社に口座がある場合の取扱いも含め、設定前に各社のルールを確認しましょう。

5. ★見落とされるデメリット:損失は「損益通算」できない

NISAは「利益が非課税」という光の側面ばかり語られますが、影の側面(デメリット)も正しく理解しておく必要があります。最大の注意点が、NISA口座で出た損失は、税務上「なかったもの」として扱われることです。

通常の課税口座(特定口座・一般口座)であれば、ある株で損が出ても、別の株の利益や配当と相殺(損益通算)して税金を減らせます。さらに、その年で引ききれない損失は翌年以降3年間にわたって繰り越す(繰越控除)こともできます。ところが、NISA口座の損失はこの損益通算・繰越控除がいっさいできません(国税庁 No.1535)。

課税口座(特定・一般)NISA口座
利益への課税20.315%課税非課税
ほかの口座の利益との損益通算できるできない
損失の3年間繰越控除できるできない

つまりNISAは、利益が出てこそメリットが最大化する制度であり、損をしたときには課税口座より不利になる場面があります。だからこそ、つみたて投資枠での長期・分散・積立など、利益が育ちやすい使い方と相性が良いのです。

💬 実務の現場から
——弊社にも、「NISAで配当をもらっているのに税金が引かれていた」「NISAで損したのに他の利益と相殺できないと言われた」というご相談が、個人投資をされている方や、運用を始めた経営者の方から実際に寄せられます。一般論として最初にお伝えするのは、NISAは”非課税の器”であって、器に何を入れ、どう受け取り、いつ出すかの設計で結果が変わる、ということです。私たちが関与する場面でも、課税口座との使い分けまで含めてご提案しています。

6. 旧NISA(2023年まで)はどうなるのか

2023年までに旧制度(一般NISA・つみたてNISA)で投資した分は、新NISAとは別枠で、それぞれの非課税期間が終わるまでそのまま非課税で保有できます。新NISAの生涯1,800万円の枠とは別管理です。

ただし、旧NISAの非課税期間が終了したあと、新NISAへそのまま移す(ロールオーバーする)ことはできません。期間終了時には課税口座へ払い出されるか、その前に売却するかを選ぶことになります。旧NISAを持っている方は、保有商品ごとの非課税期間を確認しておくと安心です。

7. 2026年以降のNISA改正の動き

NISAはさらに使いやすくなる方向で見直しが進んでいます。令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、金融庁関係の項目として次のような方向性が示されています。

  • つみたて投資枠の年齢要件(18歳以上)の見直しと、0〜17歳のこども向けの非課税枠の新設(2027年1月以降の開始が見込まれています)。
  • つみたて投資枠の対象商品の拡充(株式に投資するものに加え、公社債に投資するもの等への対象拡大)。

いずれも今後の法案・制度設計で具体化される見込みです。NISAは「拡充の方向」が続いており、長期の資産形成の柱としての位置づけが一段と強まっています。

よくある質問(FAQ)

NISAは本当に確定申告が不要ですか?

NISA口座内の利益(売却益・配当・分配金)は非課税なので、原則として確定申告は不要です。ただし、配当の受取方法を「株式数比例配分方式」にしていないと国内株式の配当は課税され、その場合は申告で取り戻せる場面もあります。まずは受取方法の設定を確認しましょう。

NISAで損をしたら、給与や事業の所得から引けますか?

引けません。NISA口座の損失は税務上ないものとされ、他の口座の利益との損益通算も、翌年以降への繰越控除もできません(国税庁 No.1535)。これがNISAの代表的なデメリットです。

つみたて投資枠と成長投資枠は両方使えますか?

使えます。併用でき、年間でつみたて120万円+成長240万円=最大360万円まで投資できます。生涯の上限は簿価ベースで1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。

NISAで買った株を売ったら、枠は戻りますか?

戻ります。売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ、生涯の非課税枠が翌年以降に復活し、再利用できます。ただし年間投資枠(つみたて120万・成長240万)の上限は別にかかります。

経営者・役員でもNISAを使うメリットはありますか?

あります。NISAは個人の資産形成の制度で、所得が高い方ほど課税口座での20.315%課税のインパクトが大きいため、非課税のメリットも実感しやすくなります。役員報酬退職金・自社株の出口戦略とあわせ、個人の資産運用全体の中で位置づけるのが効果的です。

9. まとめ

NISAは、口座の中で得た配当・分配金・売却益が非課税になる、個人の資産形成の柱となる制度です。要点は次のとおりです。

  • 新NISA(2024年〜)はつみたて120万+成長240万=年最大360万円、生涯1,800万円(うち成長1,200万円)、非課税期間は無期限
  • 国内株式の配当を非課税にするには「株式数比例配分方式」の設定が必須。設定漏れだと20.315%課税される。
  • NISAの損失は損益通算・繰越控除ができない。利益が出てこそ効く制度で、損したときは課税口座より不利な面もある。
  • 2026年以降もこども向け枠の新設・対象商品の拡充など拡充方向。長期の資産形成の柱として価値が高まっている。

「NISAと課税口座をどう使い分けるか」「配当の受け取り設定は合っているか」「役員報酬・退職金と一体で資産運用をどう設計するか」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」として、個人の資産運用から会社の税務・出口戦略まで一体でご支援しています。お気軽にご相談ください。

出典・参考資料

  • 租税特別措置法(NISA関係)
  • 国税庁 タックスアンサー No.1535「NISA制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm
  • 国税庁「NISAに関する情報」 https://www.nta.go.jp/users/gensen/nisa/index.htm
  • 金融庁「NISA特設ウェブサイト」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
  • 日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」 https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/nisahaitoukin.html
  • 金融庁「令和8年度税制改正について(税制改正大綱における金融庁関係の主要項目)」
ご利用上の留意事項
本記事は、NISA制度に関する一般的な情報提供であり、特定の金融商品の購入を勧誘するものでも、個別の投資判断・税務判断に代わるものでもありません。配当の課税・損益通算の可否・口座の取扱いは個別事情や各金融機関のルールにより異なります。制度内容は今後変更される場合があります。実際のお取引・お手続きにあたっては、各金融機関の最新情報および税理士等の専門家にご確認ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月11日

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小山晃弘 公認会計士・税理士・米国公認会計士
小山 晃弘(こやま あきひろ)
税理士法人 小山・ミカタパートナーズ 代表
公認会計士・税理士・米国公認会計士(ワシントン州)のトリプルホルダー。デロイト トーマツ(監査)出身。「日本一、経営者の視点に立てる税理士法人」を掲げ、税務顧問・改正対応から資金調達・事業承継まで伴走。著書7冊・累計6万部、YouTube登録者11万人超。 🔗 kmp.or.jp / お問い合わせ:info@kmp.or.jp