貸借対照表(BS)の読み方を税理士が解説|資産・負債・純資産と自己資本比率の見方【2026年版】
- 1. 貸借対照表(BS)とは(3行サマリー)
- 2. 貸借対照表の構造:3つのブロック
- 3. 資産・負債は「流動」と「固定」に分かれる
- 4. つぶれにくい会社かを読む:2つの安全性指標
- 5. 経営者がBSで必ず見るべき4つのポイント
- 6. BS・PL・キャッシュフローの関係
- 8. まとめ
- よくある質問(FAQ)
1. 貸借対照表(BS)とは(3行サマリー)
- 貸借対照表は、決算日というある一時点で、会社が「何を持っているか(資産)」「いくら借りているか(負債)」「元手と利益の蓄積はいくらか(純資産)」を一覧にした表です。
- 英語の Balance Sheet から「BS(ビーエス)」と呼ばれ、会社法上の計算書類の一つとして作成が義務づけられています(会社法第435条)。
- 一定期間の「もうけ」を表す損益計算書(PL)に対し、BSはその時点の財産と借金のストック(残高)を表します。
ひとことで言えば、PLが「1年間でいくら稼いだか(フロー)」を表すのに対し、BSは「今いくら財産があり、いくら借金があるか(ストック)」を表します。会社の安全性・健全性はBSに表れます。
2. 貸借対照表の構造:3つのブロック
貸借対照表は、左右2つに分かれ、合計が必ず一致する(バランスする)のが最大の特徴です。
| 左側(借方) | 右側(貸方) |
|---|---|
| 資産の部 (集めたお金を「何に使っているか」) | 負債の部 (返す必要のあるお金=他人資本) |
| 純資産の部 (返さなくてよいお金=自己資本) | |
| 資産合計 | 負債・純資産合計 |
右側(負債+純資産)は「お金をどこから集めてきたか」、左側(資産)は「集めたお金を今どんな形で持っているか」を表します。同じお金を「調達」と「運用」の両面から見ているので、左右の合計は必ず一致します。これがBSが「バランスシート」と呼ばれる理由です。
| ブロック | 意味 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 資産 | 会社が持っている財産・権利 | 現金預金、売掛金、商品(棚卸資産)、建物、車両、土地、敷金 など |
| 負債 | いずれ返す・支払う義務 | 買掛金、未払金、短期・長期借入金、未払法人税等 など |
| 純資産 | 返さなくてよい自前の元手 | 資本金、利益剰余金(過去の利益の蓄積)など |
3. 資産・負債は「流動」と「固定」に分かれる
資産と負債は、それぞれ短期(流動)と長期(固定)に分けて並べます。分ける基準が「ワンイヤールール(1年基準)」です。
- 流動資産/流動負債:1年以内に現金化・支払いされるもの(現金預金・売掛金・買掛金・短期借入金など)
- 固定資産/固定負債:1年を超えて使う・返すもの(建物・土地・車両・長期借入金など)
| 資産の部 | 負債の部 |
|---|---|
| 流動資産(現金預金・売掛金・棚卸資産 ほか) | 流動負債(買掛金・未払金・短期借入金 ほか) |
| 固定資産(建物・機械・車両・土地・敷金 ほか) | 固定負債(長期借入金・退職給付引当金 ほか) |
| 純資産(資本金・利益剰余金 ほか) |
この並びには意味があります。資産は上にいくほど現金に近い(換金しやすい)順、負債は上にいくほど早く返す必要がある順に並びます。つまりBSの上のほうを見れば「短期の支払い能力」が、下のほうを見れば「長期の財産と借入の構造」が分かります。
4. つぶれにくい会社かを読む:2つの安全性指標
BSを「読む」とは、数字を眺めることではなく、会社の安全性を指標で確かめることです。経営者がまず押さえたいのが次の2つです。
① 自己資本比率(会社の体力)
自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産(負債+純資産)× 100
総資産のうち、返さなくてよい自前のお金(純資産)がどれだけあるかを示します。高いほど借入依存が小さく、不況に強い「つぶれにくい会社」です。
| 自己資本比率の目安 | 評価 |
|---|---|
| 40%以上 | 優良。財務の安全性が高い |
| 20〜40% | 標準的。多くの中小企業がこの帯 |
| 10〜20% | やや低め。借入依存が大きい |
| 10%未満/マイナス(債務超過) | 要注意。マイナスは純資産がゼロを下回る「債務超過」 |
② 流動比率(短期の支払い能力)
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
1年以内に支払うお金(流動負債)に対し、1年以内に現金化できる資産(流動資産)がどれだけあるかを示します。120〜150%以上あると短期の資金繰りに余裕がある状態、100%を下回ると短期の支払い能力に不安があるサインです。
——弊社にも、「黒字なのに、なぜか手元のお金がいつも足りない」というご相談が実際によく寄せられます。一般論として申し上げると、その答えはPLではなくBSに表れていることがほとんどです。利益は出ていても、売掛金の回収が遅い・在庫が膨らんでいる・借入の返済が利益を上回っている、といった「お金の詰まり」はBSを見ないと分かりません。私たちが関与する場面でも、PLの利益とあわせてBSの流動比率・自己資本比率・借入残高の推移をセットで見て、資金繰りの早期の手当てにつなげています。
5. 経営者がBSで必ず見るべき4つのポイント
決算書を受け取ったとき、経営者が最初に確認したいのは次の4点です。難しい分析よりも、この4つを毎期追うだけで会社の状態がつかめます。
- 「黒字だから大丈夫」と利益だけ見て、借入過多・債務超過に気づかない
- 売掛金や在庫が年々膨らんでいるのに、利益が出ているからと放置する
- 銀行が見ているBS指標を知らず、融資面談で財務の質問に答えられない
- 現金預金の残高:いざというときの備え。月商の1〜3か月分が一つの目安
- 利益剰余金:過去の利益の蓄積。年々増えていれば内部留保が厚くなっている証拠
- 借入金の残高:純資産や利益(返済原資)と比べて多すぎないか
- 自己資本比率・流動比率:会社の体力と短期の支払い能力
6. BS・PL・キャッシュフローの関係
決算書は、貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)・キャッシュフロー計算書(CF)の3つが基本で、「財務三表」と呼ばれます。
| 決算書 | 表すもの | たとえると |
|---|---|---|
| 損益計算書(PL) | 1年間のもうけ(収益−費用) | 1年間の成績表 |
| 貸借対照表(BS) | 決算日時点の財産と借金の残高 | 今の体力・健康診断書 |
| キャッシュフロー計算書(CF) | 1年間の現金の出入り | お金の血流 |
3つはつながっています。PLで稼いだ利益(当期純利益)は、BSの利益剰余金に積み上がり、純資産を厚くします。一方で、利益が出ていても現金が増えるとは限らず(売掛金や在庫に化ける)、その「利益とお金のズレ」を説明するのがCFです。PLだけ・BSだけでは会社の全体像はつかめないため、3つをセットで見るのが王道です。
なお、利益と現金が一致しない理由や、現金の流れの管理方法は、別記事「資金繰り表の作り方を税理士が解説」で詳しく扱っています。
よくある質問(FAQ)
貸借対照表の左右は、なぜ必ず一致するのですか?
自己資本比率は何%あればよいですか?
「債務超過」とは何ですか?危険なのですか?
黒字なのにお金が残らないのは、BSのどこを見れば分かりますか?
決算書を読めるようになると、何が変わりますか?
8. まとめ
貸借対照表(BS)は、会社の安全性と体力を映す決算書です。要点は次のとおりです。
- BSは決算日時点の資産・負債・純資産を一覧にした表。左右(資産=負債+純資産)は必ず一致する。
- 資産・負債は1年基準(ワンイヤールール)で流動・固定に分かれ、上ほど現金に近い/早く返す順に並ぶ。
- 安全性は自己資本比率(純資産÷総資産。40%以上で優良)と流動比率(流動資産÷流動負債。120%以上が目安)で読む。
- 経営者は現金預金・利益剰余金・借入金残高・自己資本比率の4点を毎期、前期と比較して追う。
- 純資産のマイナス=債務超過は最も注意すべきサイン。BS・PL・CFの財務三表はセットで見る。
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出典・参考資料
- 会社法 第435条(計算書類等の作成及び保存)
- 会社計算規則(貸借対照表等の区分・表示)
- 中小企業庁・日本税理士会連合会ほか「中小企業の会計に関する基本要領」
- 中小企業庁「中小企業の財務指標」(自己資本比率・流動比率等の業種別の考え方)
本記事は、貸借対照表の読み方に関する一般的な情報提供であり、個別の財務判断に代わるものではありません。指標の目安は業種・規模により異なります。実際の財務分析・融資対応にあたっては、税理士等の専門家にご確認ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年6月19日
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