特定親族特別控除とは?大学生の子は年収150万円まで親の控除が満額|税理士が解説【2026年版】
- 1. 特定親族特別控除とは(3行サマリー)
- 2. なぜ新設されたのか——「特定扶養控除の崖」問題
- 3. 対象になる「特定親族」の3要件
- 4. 控除額の全区分(国税庁 No.1177 の早見表)
- 5. 住民税・社会保険の壁とは別物
- 6. 手続き——年末調整・確定申告での受け方
- 7. よくある失敗と王道
- 9. まとめ
- よくある質問(FAQ)
1. 特定親族特別控除とは(3行サマリー)
- 令和7年分から新設された所得控除です。19歳以上23歳未満の生計を一にする親族(多くは大学生の子)が対象で、その親(納税者)の所得から一定額を差し引けます。
- 従来は、子のアルバイト年収が扶養の範囲を1円でも超えると、親の扶養控除63万円がまるごと消える「崖」がありました。この控除は、その崖をなだらかにするものです。
- 子の合計所得金額に応じて最高63万円が控除され、給与収入に換算すると150万円までは満額63万円、そこから188万円に向けて段階的に減っていきます(国税庁タックスアンサー No.1177)。
2. なぜ新設されたのか——「特定扶養控除の崖」問題
大学生年代(19歳以上23歳未満)の子は、教育費が最もかかる時期です。この年代の扶養親族を「特定扶養親族」といい、親は通常の扶養控除(38万円)より手厚い63万円の扶養控除を受けられます(国税庁 No.1180)。
ところが従来は、子のアルバイト年収が扶養の範囲を超えると、この63万円がまるごと消えていました。たとえば子の年収が123万円なら親は63万円の控除を受けられるのに、124万円になると控除はゼロ。子が1万円多く稼いだせいで、親の税金がかえって増えて世帯の手取りが減るという逆転が起きていたのです。これが「特定扶養控除の崖(103万円/123万円の壁)」と呼ばれた問題です。
令和7年度税制改正では、この崖をなだらかにするため、①扶養控除の対象になる子の所得要件を合計所得48万円以下→58万円以下(給与103万円→123万円)に引き上げるとともに、②その範囲を超えても控除が段階的に残る特定親族特別控除を新設しました。
3. 対象になる「特定親族」の3要件
特定親族特別控除の対象になる「特定親族」とは、次のすべてを満たす人です(国税庁 No.1177)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 年齢 | その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満であること(大学生年代が中心。学生でなくてもよい) |
| ② 生計 | 納税者と生計を一にしていること(同居でなくても、仕送り等で生活を支えていれば該当) |
| ③ 所得 | 年間の合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入だけなら123万円超188万円以下)であること |
③の「合計所得58万円以下(給与123万円以下)」の子は、そもそも特定扶養親族として扶養控除63万円の対象になります。一方、合計所得が123万円(給与188万円)を超えると、この控除は受けられません。つまり特定親族特別控除は、扶養控除の対象から外れる子(給与123万円超188万円以下)を受け止める控除です。
4. 控除額の全区分(国税庁 No.1177 の早見表)
控除額は、特定親族(子)の合計所得金額に応じて、次のとおり段階的に定められています。給与収入だけの子の場合は、合計所得金額に65万円(給与所得控除の最低額)を足した金額が給与収入の目安になります。
| 特定親族の合計所得金額 | 給与収入だけの場合の目安 | 控除額 |
|---|---|---|
| 58万円超 〜 85万円以下 | 123万円超 〜 150万円以下 | 63万円 |
| 85万円超 〜 90万円以下 | 150万円超 〜 155万円以下 | 61万円 |
| 90万円超 〜 95万円以下 | 155万円超 〜 160万円以下 | 51万円 |
| 95万円超 〜 100万円以下 | 160万円超 〜 165万円以下 | 41万円 |
| 100万円超 〜 105万円以下 | 165万円超 〜 170万円以下 | 31万円 |
| 105万円超 〜 110万円以下 | 170万円超 〜 175万円以下 | 21万円 |
| 110万円超 〜 115万円以下 | 175万円超 〜 180万円以下 | 11万円 |
| 115万円超 〜 120万円以下 | 180万円超 〜 185万円以下 | 6万円 |
| 120万円超 〜 123万円以下 | 185万円超 〜 188万円以下 | 3万円 |
ポイントは、子の給与収入が150万円までは満額の63万円が維持されるという点です。扶養控除の対象になる123万円以下も控除63万円、そこから150万円までも特定親族特別控除63万円ですから、子のアルバイト年収は150万円まで、親の控除は63万円で変わりません。150万円を超えると控除が段階的に減り、188万円でゼロになります。
「うちの子は大学生だから、103万円(今は123万円)を超えないように働かせている」というご家庭は今も少なくありません。改正後は、少なくとも親の税金の面では年収150万円まで気にせず働いてもらって問題ないケースが多くなりました。一般論として、まずはこの新しいラインをご家族で共有していただくことをお勧めしています。
5. 住民税・社会保険の壁とは別物
特定親族特別控除は所得税の控除です。混同しやすい2つの制度と切り分けて理解してください。
- 住民税——個人住民税にも特定親族特別控除が設けられ、令和8年度分(令和7年分の所得に対する住民税)から適用されます。ただし控除額は所得税とは異なります(住民税は所得税より控除額が小さく設定されています)。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
- 社会保険の「130万円の壁」——これは税金とはまったく別の制度です。子自身が親(の勤務先の健康保険)の被扶養者でいられるかは、原則として年収130万円で判定され、所得税の特定親族特別控除とは連動しません。子の年収が130万円を超えると、子自身が国民健康保険・国民年金などに加入する必要が生じる場合があります。
6. 手続き——年末調整・確定申告での受け方
特定親族特別控除は、自動では適用されません。次のいずれかで申告する必要があります。
- 会社員・パートの親——勤務先の年末調整で受けます。令和7年分から新設された「給与所得者の特定親族特別控除申告書」(基礎控除申告書等と一体の様式)に、対象となる子の氏名・所得の見積額などを記入して勤務先へ提出します。
- 個人事業主など——確定申告書の該当欄に記入して適用を受けます。
また、令和7年分から源泉徴収票の様式も改正され、「特定親族特別控除の額」を記載する欄が新設されました。年末調整でこの控除が適用されると、その金額が源泉徴収票に印字されます。
7. よくある失敗と王道
- 改正を知らず、いまだに「子の年収は103万円まで」と働き方を抑えている(実際は親の控除は150万円まで満額)
- 「税金が150万円までセーフ」を社会保険にも当てはめ、130万円の壁を見落として子が扶養から外れる
- 年末調整で特定親族特別控除申告書を提出し忘れ、控除を受けられていない
- 子が地方で一人暮らしだから対象外だと思い込み、仕送りで生計を一にしているのに申告しない
- 子の年収を正確に把握せず、区分(63万〜3万)を誤って申告する
- 大学生年代の子は、親の税金の面では年収150万円までを一つの目安に働き方を考える
- 税(150万円まで控除が残る)と社会保険(130万円の壁)は別物と理解し、両方で確認する
- 会社員の親は、年末調整で特定親族特別控除申告書を忘れずに提出する
- 子の年収が150万円を超えそうなら、188万円まで控除は段階的に残ることを踏まえて働き方を選ぶ
- 判断に迷う場合は、子の見込み年収と親の税負担をセットで試算してから決める
よくある質問(FAQ)
特定親族特別控除とは、何のための控除ですか?
大学生の子は、結局いくらまで働いても親の税金は増えませんか?
「特定扶養控除」と「特定親族特別控除」は何が違いますか?
子が地方で一人暮らしをしていても対象になりますか?
どこで手続きすればよいですか?
9. まとめ
特定親族特別控除は、令和7年分から新設された、大学生年代の子を持つ家庭にとって大きな意味を持つ控除です。要点は次のとおりです。
- 対象は19歳以上23歳未満・生計を一にする・合計所得58万円超123万円以下(給与123万円超188万円以下)の親族。
- 控除額は最高63万円。給与収入なら150万円までは満額63万円、そこから188万円に向けて段階的に減る(国税庁 No.1177)。
- 従来の「1円超えたら63万円の控除が消える」崖がなくなり、子は150万円まで気にせず働けるケースが増えた。
- ただし社会保険の130万円の壁は別物。税と社会保険は分けて確認する。
- 受けるには年末調整(特定親族特別控除申告書)または確定申告での申告が必要。令和7年分から源泉徴収票にも欄が新設。
「子の働き方と自分の税金を試算したい」「年末調整の書類の書き方が分からない」「税と社会保険を通した世帯の手取りを最適化したい」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、公認会計士・税理士・米国公認会計士のトリプルホルダーの視点で、改正対応から家計と事業を通した税務まで伴走します。ご家族の働き方に迷われたら、お気軽にご相談ください。
出典・参考資料
- 国税庁タックスアンサー No.1177(特定親族特別控除)
- 国税庁タックスアンサー No.1180(扶養控除)
- 国税庁タックスアンサー No.1195(配偶者特別控除)
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 所得税法第2条・第84条(扶養控除・特定親族特別控除の規定)/令和7年度税制改正
本記事は、特定親族特別控除に関する一般的な情報提供であり、個別の税務判断に代わるものではありません。控除の適用可否・控除額は、対象となる方の年齢・生計の状況・合計所得金額により異なり、住民税や社会保険の扱いは別の制度です。制度の要件は改正により変わることがあります。実際の申告にあたっては、税理士等の専門家または勤務先・所轄の税務署にご確認ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年7月20日
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無料相談はこちらこの記事は執筆時点の法令・通達に基づいています。最終確認日:2026年8月2日(現行制度との照合を実施)。税制は改正されます。実際のご判断の前に、最新の情報をご確認いただくか、税理士法人 小山・ミカタパートナーズまでご相談ください。
