予算編成とは?中小企業の予算の立て方と予実管理の回し方を税理士が解説【2026年版】
- 1. 予算編成・予実管理とは(3行サマリー)
- 2. なぜ中小企業に予算が必要なのか
- 3. 予算の5つの種類
- 4. 予算の立て方——5つのステップ
- 5. 予実管理の回し方——差異を3つに分解する
- 6. よくある失敗と王道
- 7. まとめ
- よくある質問(FAQ)
1. 予算編成・予実管理とは(3行サマリー)
- 予算編成とは、来期の売上・費用・利益・資金の目標を数字で組み立てることです。単なる願望ではなく、達成に必要な行動まで裏づけた「実行可能な計画」にするのが要点です。
- 予実管理(予算実績管理)とは、毎月、予算と実績を比べて差(差異)を分析し、原因をつかんで次の手を打つことです。計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→改善(Action)のPDCAを月次で回します。
- 予算は利益から逆算して立てるのが王道です。「いくら残したいか」を先に決め、そのために必要な売上・許される費用を組み立てます。
2. なぜ中小企業に予算が必要なのか
法律上、中小企業に予算編成の義務はありません。それでも予算を持つ会社が強いのは、次の4つの力が手に入るからです。
- 早い意思決定——毎月「予算に対して足りているか」で判断できるため、手を打つのが早くなります。前年比だけでは、季節変動や一時的な要因に振り回されます。
- 期末の着地予測と対策——年度の途中で着地見込みが読めれば、利益が出そうなら決算対策(設備投資・決算賞与など)、足りなければ挽回策を、余裕をもって打てます。
- 資金繰りの安定——利益の予算と連動して資金の予算(資金繰り計画)を持てば、資金ショートを先回りで防げます。黒字でも現金が尽きる「黒字倒産」は、資金の予算がない会社ほど起きやすくなります。
- 金融機関からの信頼——予算と予実管理を示せる会社は、「数字で経営している会社」として銀行融資で高く評価されます。事業計画書の裏づけにもなります。
「予算を作ってもそのとおりにならないから意味がない」というお声をいただくことがあります。ですが予算の価値は、当たることではなく、ズレた理由が分かることにあります。一般論として、ズレの原因が「数量なのか、単価なのか、コストなのか」を毎月つかめる会社ほど、打ち手が的確になる、とお伝えしています。
3. 予算の5つの種類
「予算」と一口に言っても、次の要素で構成されます。中小企業はまず売上・費用・利益の3つから始め、慣れたら資金・投資へ広げます。
| 予算の種類 | 中身 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 売上予算 | 商品・サービス別、部門別、月別の売上目標 | いくら売るか |
| 費用予算 | 変動費(仕入・外注など)と固定費(人件費・家賃など)の計画 | いくら使ってよいか |
| 利益予算 | 売上予算 − 費用予算=目標利益 | いくら残すか |
| 資金予算(資金繰り計画) | 入金・出金のタイミングを見た現金の計画 | 現金が回るか |
| 設備投資予算 | 設備・システム等への投資計画 | 何にいくら投資するか |
利益予算は、売上予算から費用予算を引いた結果として出てくるものではなく、先に「目標利益」を決めてから逆算するのが王道です(次章)。
4. 予算の立て方——5つのステップ
中小企業の予算編成は、次の順で組み立てると、根拠のある実行可能な計画になります。
- 目標利益を決める(トップダウン)——「来期、いくら残したいか」を先に決めます。借入返済・納税・内部留保・投資に必要な額から、必要利益を設定します。
- 売上予算に落とす(利益から逆算)——目標利益を達成するのに必要な売上を、限界利益率を使って逆算します。〔必要売上高=(固定費+目標利益)÷ 限界利益率〕。これは損益分岐点分析の応用です。
- 現場から積み上げる(ボトムアップ)——逆算した売上を、商品別・顧客別・営業担当別・月別に分解し、現場の実感で「本当に届くか」を積み上げて検証します。
- トップとボトムをすり合わせる——トップダウンの目標とボトムアップの積み上げにギャップがあれば、行動計画(新規開拓・単価改定・新商品など)で埋めるか、目標を現実的に調整します。
- 月別の予算書に展開する——確定した年間予算を、季節変動を織り込んで月別に配分し、費用・資金も月別に落として「月次予算」に仕上げます。これが予実管理の物差しになります。
5. 予実管理の回し方——差異を3つに分解する
予算は、毎月の実績と比べて初めて生きます。予実管理のポイントは、差異(予算と実績の差)を「なんとなく未達」で終わらせず、原因まで分解することです。
売上のズレは、主に次の3つに分けて考えます。
- 数量差——売れた「量(客数・受注件数)」が予算とどれだけ違ったか。
- 単価差——「単価(客単価・販売価格)」が予算とどれだけ違ったか。
- 構成差——利益率の高い商品と低い商品の「売れた構成」がどれだけ違ったか。
同じ「売上未達」でも、数量が足りないのか、値引きで単価が落ちたのか、利益率の低い商品ばかり売れたのかで、打つ手はまったく異なります。費用のズレも同様に、「予算より使いすぎた費目はどこか」を科目別に見ます。
そのうえで、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 検証(Check)→ 改善(Action)のPDCAを毎月回します。月次決算で実績を早く締め、予算と並べ、差異の原因を検討し、翌月の行動を決める——このサイクルの速さが、業績改善のスピードそのものになります。
6. よくある失敗と王道
- 前年比だけで目標を決め、「いくら残したいか(目標利益)」から逆算していない
- 予算を立てっぱなしで、期末まで実績と比べない(予実管理がない)
- 差異を「なんとなく未達」で終わらせ、数量・単価・コストに分解しない
- 社長が一人で数字を作り、現場が「自分の目標」だと思っていない(積み上げ・すり合わせがない)
- 利益の予算だけで資金の予算(資金繰り)を持たず、黒字なのに資金が回らない
- 目標利益を先に決め、限界利益率で必要売上を逆算する(利益からの逆算)
- 売上を単価 × 数量、費用を変動費 × 固定費に分解し、根拠のある予算にする
- 予算を月別に展開し、毎月実績と並べて差異を分解する(予実管理)
- トップダウンの目標とボトムアップの積み上げをすり合わせ、現場が納得する予算にする
- 利益予算と資金予算をセットで持ち、資金ショートを先回りで防ぐ
7. まとめ
予算編成と予実管理は、経営を「勘」から「数字」に変える中核の仕組みです。要点は次のとおりです。
- 予算は利益から逆算して立てる。「いくら残したいか」を先に決め、限界利益率で必要売上を求める。
- 売上は単価 × 数量、費用は変動費 × 固定費に分解し、根拠のある月別予算に落とす。
- 予算は立てっぱなしにせず、毎月実績と並べて差異を分解し、PDCAを回す(予実管理)。
- 差異は数量差・単価差・構成差(コスト差)に分けて原因をつかむ。
- 利益予算と資金予算をセットで持ち、資金ショートを先回りで防ぐ。
「根拠のある予算の立て方を身につけたい」「予実管理の仕組みを作りたい」「予算と資金繰りを連動させたい」——税理士法人 小山・ミカタパートナーズでは、認定経営革新等支援機関として、目標利益からの予算編成、月次の予実管理、資金繰りまで、数字を『社長が使える道具』に変える財務顧問でご支援しています。数字で経営を回したい経営者の方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
予算編成と事業計画は何が違いますか?
小さな会社でも予算は必要ですか?
予算はどのくらいの精度で当てるべきですか?
予算はいつ作ればよいですか?
予算と資金繰りはどう連動させますか?
出典・参考資料
- 中小企業庁「中小企業の会計に関する基本要領」
- 中小企業庁「中小企業白書」(経営における計画・数値管理の重要性)
- ※本記事の予算編成・予実管理の手順は、管理会計の一般的な考え方にもとづき、中小企業の実務向けに整理したものです。
本記事は、予算編成・予実管理に関する一般的な情報提供であり、個別の経営判断に代わるものではありません。適切な予算の立て方・管理方法は、業種・規模・経営環境により異なります。実際の導入にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
発行:税理士法人 小山・ミカタパートナーズ / 文責:代表 小山晃弘(公認会計士・税理士・米国公認会計士)
出典確認日:2026年7月20日
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認定経営革新等支援機関として、目標利益からの予算編成、月次の予実管理、資金繰りまで、数字を『社長が使える道具』に変える財務顧問でご支援しています。数字で経営を回したい経営者の方は、お気軽にご相談ください。
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